飯島 洋 / いいじま ひろし

私は外国文学を受容しながら日本に本格的なフィクションを根付かせようとした、昭和の作家たちの作品を研究しています。福永武彦や伊藤整、堀辰雄などが主な対象です。虚構というシステムを経由することで、なにを語ることができるのかを解き明かしたいと考えています。特に近年は、文学が描く、戦争・災害といった集合的な災厄から、個人的な被害・喪失体験や病に至るまで、痛苦の記憶を抱えた人間の問題に関心を持っており、語りがたいことを文学テクストがいかに伝えうるかについて研究をすすめています。記憶の表象や痛苦・病をめぐる同時代の言説を丁寧にたどり、自筆原稿のような一次資料も探索しながら、テクストが伝えようとしていることを読み解いていきます。

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