猪瀬 千尋 / いのせ ちひろ

専門は中世日本の古典文学です。扱う主要な作品は説話文学や唱導文芸ですが、他に絵画、建築、彫刻などの芸術や、雅楽、歌謡、能といった芸能にも興味があります。研究主題は下記の三点です。
①有職故実の詳細な読解に基づく、文学と儀礼の究明。宮廷や寺院社会の規範、仕組みの理解を通して、説話や日記、物語などにあらたな読みを提示しようと試みています。
②時代のものの見方に即した日本思想の分析。著名な思想家の著述のみならず、より多くの資料読解を通して、古典文芸における根元的な思想の読み直しをはかっています。最近はとくに無常観に関心を寄せています。
③書物の生成、流動の体系的分析。書誌学の方法を根底としながら、書物をめぐる人と社会の文化的動態の究明を目指しています。目下、加賀前田藩における書物蒐集の実態解明が課題です。

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