森 雅秀 / もり まさひで

インドでおこった仏教は、中央アジアや中国、あるいは東南アジアなどを経由して、日本に伝来しました。その伝播の過程で、それぞれの地域や民族の人々によって受容されるとともに、仏教そのものが変質していきました。アジア全域に広がった仏教は、ひと口に仏教といっても、そのあり方は一様ではありません。教理や思想をはじめ、仏のイメージ、修行の方法、国家や民衆との関係など、さまざまな面で仏教は多様な姿を示します。このような仏教の多様性は、逆にそれぞれの文化のあり方を示す格好の題材となります。とくに、日本において仏教の影響のもとで生まれた思想、芸術、文学、習俗、祭事などは、日本文化を考える上で欠くことのできない要素です。このような視点のもとで、仏教文化の比較研究を通して、日本文化とは何か、日本人とはいかなるものか、それはインドをはじめとする他のアジアの国々とどのような違いがあるのかについて、考察を進めています。

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