前田 隆 / まえだ たかし

完全競争下では、市場メカニズムを通して実現される資源配分はパレート効率的であるが、完全競争の条件が満たされないとき市場を通じて実現される資源配分は必ずしもパレート効率的であるとは限りません。このことは市場の失敗とよばれ、パレート効率的な資源配分が達成されない条件として、不完全競争(独占、寡占市場)の存在、不確実性の存在、さらには情報の非対称性(逆選択、モラルハザード)などが知られています。ところで、これらの市場の失敗を引き起こす事例は特殊なものではなく、広く一般的に発生する状況です。例えば、企業は、R&D開発による特許の獲得、あるいは製品の差別化等により右下がりの需要曲線を手に入れようとします。また、牛肉偽装事件に見られるように、情報の非対称性を利用することによって正の利潤を獲得することができるため、企業には真の情報を提供するインセンティブは存在しません。私の研究テーマは、このような市場の失敗に起因する経済の非効率性の解明とこれを防ぐことができるような制度の設計(メカニズム・デザイン)、そしてこれらの研究を遂行するための道具として意思決定理論およびゲーム理論の理論的な深化を研究することです。

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