人間社会環境研究科とは?

人類と人間社会の諸課題に応える

人間社会環境研究科の沿革

人間社会環境研究科長
小島 治幸

21世紀に入り,人類は,激動の時代を迎えています。地球温暖化に象徴されるように,地球の有限性をますます意識せざるを得ず,宇宙船地球号の中で,自然環境を考えざるを得なくなっています。人間の創り上げてきた社会環境も多くの問題をはらんでいます。経済,政治,法・制度や,個人,家族,地域から自治体,国家,そしてグローバルなレベルまで,戦争,飢餓と貧困,大震災,津波,原発事故,自然災害,不公平と差別の解消等,諸課題が私たちにその解決を迫っています。
このような時,金沢大学人間社会環境研究科は,2006年4月,博士前期課程と博士後期課程からなる区分制大学院として発足しました。
これまでの3つの修士課程研究科(文学研究科,法学研究科,経済学研究科)を統合し博士前期課程とし,これと従来の博士課程の社会環境科学研究科をさらに統合しました。
直面する人類の諸課題そして人間生活の日常の諸問題に対応するためには,とくに人文,社会諸科学の専門性を深め,他方で,広く自然科学とも連携した諸科学の学際的な協力が不可欠と考えたからです。
人間社会環境研究科は新しい時代の問題解決を目ざす新しい組織です。私たちは,皆さんの希望,夢をかなえるため教育・研究環境を整える努力をしています。この組織を最大限活用して,新しい学問を創り上げ,問題解決に取り組むという壮大な事業に果敢に挑戦してください。皆さんの参加を期待します。

学士教育に接続する4つの専攻――博士前期課程

博⼠前期課程は,4専攻を設置しています。学⼠課程に設置されている6学類のうち,⼈⽂学類,経済学類,地域創造学類,国際学類における専門分野の教育を継承し,⾼度専門職業⼈教育を⾏う⼈⽂学専攻,経済学専攻,地域創造学専攻,国際学専攻の4専攻です。2018年4⽉から,地域創造学専攻に教育
⽀援開発学コースを新たに設置しました。学士課程の学校教育学類は,この教育支援開発学コースと密接に連携しています。また,法学類は,従来どおり法学・政治学専攻(2019年度から募集停止,2020年4月に法学研究科法学・政治学専攻(修士課程)として発足)と密接な連携を維持します。
取得できる学位は,修⼠(⽂学),修⼠(経済学),修⼠(経営学),修⼠(地域創造学),修⼠(国際学),修⼠(学術)です。経済学専攻及び地域創造学専攻には,仕事を続けながら1年で学位を取得できる短期(1年)在学型制度も設けています。

専門的かつ学際的研究を――博士後期課程

博士後期課程の目標は,「大学教員・民間シンクタンク等の研究者や,企業・自治体等の研究的能力を有する高度専門職業人の養成」です。
本研究科の博士後期課程は人間社会環境学専攻の1専攻のみで,学生の皆さんは全員その専攻に所属しますが,その中を「人文学コース」「法学・政治学コース」「社会経済学コース」の3コースに分けています。これは博士論文の審査の母体となるもので,人間社会環境学という幅広い研究領域で行われるそれぞれの研究を,最もふさわしい専門の教員で審査できるようにするための措置です。
後期課程には前期課程からの進学者に加え,公務員・会社員などの社会人,さらに近年増えている留学生と,多彩な学生が机を並べています。取得できる学位は博士(社会環境学),博士(文学),博士(法学),博士(政治学),博士(経済学),博士(学術)のいずれかです。学位取得後の進路は研究,教育職をはじめ,公務員や一般企業への就職と多様です。