平成24 年度文部科学省博士課程教育リーディングプログラム採択事業
文化資源マネージャー養成プログラム
ごあいさつ
プログラムコーディネーター/大学院人間社会環境研究科長 鏡味 治也
この度文部科学省の博士課程教育リーディングプログラムに採択された「文化資源マネージャー養成プログラム」は,文化の違いが紛争の種になりかねない現代において,多様な文化の存在を尊重し,多文化共生の未来社会を築いていくために,ローカルな文化のグローバルな活用策を考えマネージできる人材を育てていこうとする5年一貫のプログラムです。豊かな文化伝統の維持されている金沢市・石川県に立地する本学ならではのプログラムであり,また本学が交流を積み上げてきたアジア4カ国をそれぞれ代表する4大学からの留学生と日本人学生がチームを組んで学ぶことで,多文化共生を実践して未来のリーダーの国際ネットワークを築いていこうとするプログラムです。世界各地の文化伝統の新たな使い道をアジアの仲間と共に考えようとする皆さんの応募をお待ちします。
文化資源マネージャー養成プログラム
*平成24年度文部科学省博士課程教育リーディングプログラム採択事業
金沢大学大学院人間社会環境研究科では,平成25年4月から,博士前期課程と同後期課程を合わせた5年一貫の教育プログラムとして,「文化資源マネージャー養成プログラム」を実施します。このプログラムは平成24年度文部科学省博士課程教育リーディングプログラム(複合領域型「多文化共生社会」)に採択された事業です。本プログラムの対象者は,年度ごとに一般募集する日本人学生4名と,本プログラム連携機関である中国・タイ・インドネシア・ベトナムの4大学から募集する留学生4名の計8名です。
理念と目的
本プログラムは,人類文化の多様性を尊重しつつ,世界各国・各地域で継承されてきた文化資源の将来に向けての意義と有用性を探求し,特定の人びとにとってのみならず人類全体に向けたその活用策を案出し実践する人材,すなわちローカルな文化資源のグローバルな活用を可能にする資源発掘・管理・活用策提案能力を身につけた「文化資源マネージャー」を養成することを目的としています。期待される活躍の場は,文化行政を管轄する中央政府や地方政府,ユネスコを始めとする国際文化機関,博物館,伝統資源を活用する民間企業などです。
同期入学生8名の国際的チームによる教室−現場往還の実践的学習
教育プログラムとしての特色は,同期入学の日本人学生4名および中国・タイ・インドネシア・ベトナムからの留学生4名による,国際的な編成のチーム学習です。5年間のプログラムを通して,英語を共通語に教室での勉学のみならず,日本国内外で文化資源が研究・活用されている博物館や研究機関,また工房や観光施設現場での現地研修や調査,また金沢大学および海外協定校での国際ワークショップの企画運営を,同期8人のチームで取り組みます。ただし2年次から3年次への進学の際に課す研究レポートと,5年次に提出する博士論文は各個人でまとめます。
もうひとつの特色は,5年間を通じて,教室と現場を何度も往還しながら文化資源の継承・活用という課題に取り組む実践的なプログラムです。1年次には日本国内外の文化資源の活用現場での研修,2年次にはその実情と問題点を把握するための基礎調査を実施し,それを3年次進学に向けての研究レポートにまとめます。3・4年次には各自の研究課題を定め,具体的な調査対象を選んで本格的な現地調査を行い,それを博士学位論文にまとめます。
こうした実践的な研究で身に付けた現場感覚と,5年間のチーム学習で培った緊密な国際ネットワークを背景に,卒業生が出身各国の文化行政畑で活躍するのが本プログラムの夢です。
基本カリキュラム
博士前期課程に相当する1・2年次は,本研究科博士前期課程の人文学専攻・文化資源学コースに在籍し,その学際総合型プログラム「文化資源学」で開講される科目(下表)を中心に最低30単位修得するとともに,研究レポートを提出して審査を受け,3年次に進学します。なお本研究科博士前期課程の他の専攻(法学・政治学専攻,経済学専攻,地域創造学専攻,国際学専攻)に在籍しながらも本プログラム対象の学生となることはできますが,その際にはその所属する専攻の修了要件を満たした上で,さらに人文学専攻の「文化資源学」プログラムで開講する科目を,必修科目を含め最低22単位履修しなければなりません。
学際総合型プログラム・ 文化資源学関連科目(*は必修) |
専門基礎科目 | 文化資源学概論* | 2(単位) |
伝承文化資源学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ | 各2 | ||
形態文化資源学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ | 各2 | ||
文化資源情報学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ | 各2 | ||
文化資源学インターンシップ* | 4 | ||
専門応用科目 | 伝承文化資源学演習Ⅰ・Ⅱ | 各2 | |
形態文化資源学演習Ⅰ・Ⅱ | 各2 | ||
文化資源情報学演習Ⅰ・Ⅱ | 各2 | ||
文化資源学実習Ⅰ・Ⅱ* | 各2 |
博士後期課程に相当する3・4・5年次は,本研究科博士後期課程の人間社会環境学専攻に在籍し,同専攻の開講する科目を最低16単位修得し,専攻の課す修了要件を満たした上で学位論文を提出します。
本プログラムを支える機関
本プログラムは,金沢大学の交流協定校であるアジア4大学を始めとする海外機関,また金沢大学の地元である金沢市や石川県,さらに国内の代表的な文化機関である国立民族学博物館やユネスコ・アジア太平洋無形文化遺産研究センターの協力を得て実施します。本プログラムに直接関わる海外協定校は中国・北京大学,タイ・チェンマイ大学,インドネシア・バンドゥン工科大学,ベトナム・ベトナム国家大学ハノイ校であり,それぞれの国を代表する大学です。ここからは毎年留学生を派遣してもらうほか,海外研修・調査地の斡旋や国際ワークショップの開催でも協力してもらいます。
なおこのほかに海外での研修・調査先としては,本学教員の研究実績が豊富なイタリアの洞窟教会,グアテマラのマヤ遺跡,カンボジアのアンコール遺跡なども予定しています。
またユネスコ・クラフト創造都市である金沢市や世界農業遺産に認定された能登地方を有する石川県は,国内での文化資源継承の先進地として格好の研修・調査対象となり,国立民族学博物館やユネスコ・アジア太平洋無形文化遺産研究センターにも研修・調査の紹介・斡旋に協力してもらいます。
経済的支援
本プログラム対象者には一定の経済的支援を行います。5年間を通じて,本プログラム対象者には入学料及び授業料の全額を徴収しないものとし,ひとり月額14万5千円の奨励金を支給する予定です。さらに3年次以降には成績優秀者に奨励金の増額も検討しています。
また本プログラムの事業として行う国内外での現地研修・現地調査・国際ワークショップにかかる旅費・宿泊費は,原則として金沢大学が負担します。
本プログラムの対象者資格
本プログラムの対象者のうち,日本人学生4名は本研究科博士前期課程の5専攻のいずれかの入学試験に合格した者とします。入学試験への応募の際に,本プログラム希望と明記してください。各専攻での入学審査とは別に,本プログラム希望者を対象にした審査を行い,成績優秀者4名をその年度のプログラム対象者とします。
本プログラムではアジア4カ国の留学生を別に募集するので,日本での募集は日本人国籍を有する者を対象とします。
また本プログラムは英語による勉学を原則とするので,入学時点でTOEFL iBT 80点相当の英語能力を求めます。入学試験応募に際してTOEFL等の成績表を提出してください。
プログラム担当者
中村慎一 | プログラム責任者・考古学 | 金沢大学 |
鏡味治也 | プログラムコーディネーター・文化人類学 | 金沢大学 |
藤井純夫 | 考古学 | 金沢大学 |
中村誠一 | 考古学 | 金沢大学 |
宮下孝晴 | 西洋美術史 | 金沢大学 |
森 雅秀 | 仏教学・比較文化学 | 金沢大学 |
西村 聡 | 日本文学 | 金沢大学 |
岩田 礼 | 中国語学 | 金沢大学 |
西本陽一 | 文化人類学 | 金沢大学 |
上田 望 | 中国文学 | 金沢大学 |
矢口直道 | 東洋建築史 | 金沢大学 |
足立拓朗 | 考古学 | 金沢大学 |
大友信秀 | 知的財産法 | 金沢大学 |
正木 響 | 世界経済論 | 金沢大学 |
関 雄二 | 考古学・文化人類学 | 国立民族学博物館 |
大貫美佐子 | 文化政策 | ユネスコ・アジア太平洋無形文化遺産研究センター |
河原 淸 | 都市政策論 | 金沢市 |
趙 輝 | 考古学 | 北京大学 |
Yos Santasombat | 文化人類学 | チェンマイ大学 |
Dudy Wiyancoko | プロダクトデザイン | バンドゥン工科大学 |
Lam Thi My Dzung | 考古学 | ベトナム国家大学ハノイ校 |
問い合わせ先
金沢大学 人間社会系事務部学生課 人文・国際学務係
TEL:076-264-5601
FAX:076-264-5468
e-mail:n-jkgaku@adm.kanazawa-u.ac.jp